2023.11.01
新社長に変わった1年間を振り返ってみて
事業承継で代表取締役に就任してちょうど1年が経ちました。立ち上げからだと3年3ヶ月。この期間を振り返ろうと思います。
旅行で2回しか訪れたことのない京都で訪問看護のことをほとんど知らずに立ち上げ管理者がスタートしました。初めの頃は訪問看護に強い思い入れがあった訳ではなく、管理職をやってみたかったという軽薄な理由でした。強いて挙げるなら、看護師の先輩が訪問看護を立ち上げいきいきと働いている姿がカッコ良かった、また、親が脊柱管狭窄症を発症して働けなくなったため、いずれ使うだろう介護保険サービスや在宅医療資源に詳しくなりたいという理由から訪問看護をやりたいという思いくらいでした。
病院ではオペ室の経験しか無く、短期間アルバイトとして施設や病院夜勤に携わっていたほどだったので、訪問看護に関わる業務全てが新鮮で本当に多くの学びを得ることができました。そんな中で自分はどんな看護師になりたいか、どんな看護を提供できるのかを考えるようになりました。すごく充実していた毎日でした。
開設から1年7ヶ月目のある日、珍しく税理士から「社長と一緒に来て欲しい。大事な話がある。」と呼び出されて訪問しました。挨拶はそこそこに「訪問看護の事業をすぐにたたみなさい。もう再来月から給料を払えないほどに赤字経営になっている。」と言われました。「この人何言ってるんだ?そんなわけないやん。」と思いましたが試算表を渡され説明を受け、恥ずかしながら初めて触れた会社の数字に驚愕しました。利益は出ていると踏んでいたのですが、経費があまりに高くて売り上げも少なく実際はむしろマイナス。売上や経費のことを全く理解できておらず、なぁなぁで仕事をしていた自分に気づきました。どんなに強くて高貴な看護の思いがあってもこうして会社運営について無知だと、看護を提供するとさえもできなくなるんだと痛感しました。雇われ管理者だから数字は社長が把握していれば問題ないだろうと認識していたのが最大の甘えだったなと、自分の未熟さで利用者や家族、一緒に働いている従業員の生活にも悪影響を及ぼしてしまうのだなと実感しました。
会社の数字を把握してからは社長と何度も議論を交わしました。ただ、私自身が他スタッフの雇用条件は意地でも変えたくなかったのでそこは振り切りませんでした。単純に退職者が出るのが怖かったんです。結局は大久保の給料を大幅にカット、スタッフ全員の夏の賞与カットを断行しました。スタッフには謝罪と説明を丁寧に行いました。それでも1人退職者が出ました。初めての退職者で内心はすごくショックでした。経営面だけでなく運営面でも課題が多かったんです。退職者の方からたくさん指摘をいただきました。たしかにショックは大きかったんですが、同時に自分が見えていない組織課題を知ることができ、また、スタッフとの対話も全く足りていなかったことに気付かされ、マネジメントの重要性を認識する貴重な機会になりました。
社長との話し合いの結果、「いずみ訪問看護は地域でも認知度は上がってきて信頼を得つつあるのでたたむのではなく、ぜひ残したい。実際の運営は大久保に任せていたので、事業承継で会社を受け継いでほしい。」と言われ4千万を超える負債と共に会社を引き継ぎました。
事業承継することを決めてからは、ただひたすらに現状を分析して、計画を立てて行動に移しました。ちょうどその頃コロナ感染が爆発的に広がっていましたが、地域では保健所からの訪問依頼を受ける訪問看護ステーションはありませんでした。保健所や医師、ケアマネの信頼を得る絶好の機会と考えつつ、朝7時から22時までコロナ訪問に行き続けました。コロナ訪問終了後も定期訪問につながったり、新規依頼も継続していただけるようになったのはこれらの行動が身を結んだと考えています。
このあたりから、私自身は『従業員が安心して長く働ける会社、しっかりと給料が支給できる会社に成熟させたい。地域のニーズに沿った看護やリハビリが提供できるスタッフ育成を行うことで、より多くの地域住民の生活を支えるべく関わっていきたい。』と考えるようになりました。そうして会社の理念、ミッション、ビジョン、バリューを考えました。
2022年11月1日に代表取締役に就任してからも毎日が新鮮で、学びの連続の日々を送っています。スタッフ一人ひとりとの時間を確保し、より耳を傾け対話を行い、組織課題解決に取り組んでいます。その甲斐もあってか、カットした賞与を上乗せして冬に支給することができました。ただ当たり前ではありますが、1年経過した今でも課題山積です。それでも一挙手一投足の責任の重さを感じつつ、一歩ずつ組織が成長できていると感じています。私自身も多くの経営者や異業種の方との交流を介して刺激を受け学びを深めることができており、このご縁に感謝しかありません。
会社の成長においては、社長の器が会社の器、いわゆる成長の限界だと捉えています。今日から社長2年目に突入しますが、まだまだ思慮も経験も薄い若輩者です。会社を成長させてスタッフや利用者を幸せにするため、貪欲かつ謙虚に学びながら器を大きくしていき、スタッフ達と最高にワクワクする未来を共に描き、必ずその絵をつかみたいと考えています。誠に勝手ではありますが応援のほどよろしくお願いいたします😊
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旅行で2回しか訪れたことのない京都で訪問看護のことをほとんど知らずに立ち上げ管理者がスタートしました。初めの頃は訪問看護に強い思い入れがあった訳ではなく、管理職をやってみたかったという軽薄な理由でした。強いて挙げるなら、看護師の先輩が訪問看護を立ち上げいきいきと働いている姿がカッコ良かった、また、親が脊柱管狭窄症を発症して働けなくなったため、いずれ使うだろう介護保険サービスや在宅医療資源に詳しくなりたいという理由から訪問看護をやりたいという思いくらいでした。
病院ではオペ室の経験しか無く、短期間アルバイトとして施設や病院夜勤に携わっていたほどだったので、訪問看護に関わる業務全てが新鮮で本当に多くの学びを得ることができました。そんな中で自分はどんな看護師になりたいか、どんな看護を提供できるのかを考えるようになりました。すごく充実していた毎日でした。
開設から1年7ヶ月目のある日、珍しく税理士から「社長と一緒に来て欲しい。大事な話がある。」と呼び出されて訪問しました。挨拶はそこそこに「訪問看護の事業をすぐにたたみなさい。もう再来月から給料を払えないほどに赤字経営になっている。」と言われました。「この人何言ってるんだ?そんなわけないやん。」と思いましたが試算表を渡され説明を受け、恥ずかしながら初めて触れた会社の数字に驚愕しました。利益は出ていると踏んでいたのですが、経費があまりに高くて売り上げも少なく実際はむしろマイナス。売上や経費のことを全く理解できておらず、なぁなぁで仕事をしていた自分に気づきました。どんなに強くて高貴な看護の思いがあってもこうして会社運営について無知だと、看護を提供するとさえもできなくなるんだと痛感しました。雇われ管理者だから数字は社長が把握していれば問題ないだろうと認識していたのが最大の甘えだったなと、自分の未熟さで利用者や家族、一緒に働いている従業員の生活にも悪影響を及ぼしてしまうのだなと実感しました。
会社の数字を把握してからは社長と何度も議論を交わしました。ただ、私自身が他スタッフの雇用条件は意地でも変えたくなかったのでそこは振り切りませんでした。単純に退職者が出るのが怖かったんです。結局は大久保の給料を大幅にカット、スタッフ全員の夏の賞与カットを断行しました。スタッフには謝罪と説明を丁寧に行いました。それでも1人退職者が出ました。初めての退職者で内心はすごくショックでした。経営面だけでなく運営面でも課題が多かったんです。退職者の方からたくさん指摘をいただきました。たしかにショックは大きかったんですが、同時に自分が見えていない組織課題を知ることができ、また、スタッフとの対話も全く足りていなかったことに気付かされ、マネジメントの重要性を認識する貴重な機会になりました。
社長との話し合いの結果、「いずみ訪問看護は地域でも認知度は上がってきて信頼を得つつあるのでたたむのではなく、ぜひ残したい。実際の運営は大久保に任せていたので、事業承継で会社を受け継いでほしい。」と言われ4千万を超える負債と共に会社を引き継ぎました。
事業承継することを決めてからは、ただひたすらに現状を分析して、計画を立てて行動に移しました。ちょうどその頃コロナ感染が爆発的に広がっていましたが、地域では保健所からの訪問依頼を受ける訪問看護ステーションはありませんでした。保健所や医師、ケアマネの信頼を得る絶好の機会と考えつつ、朝7時から22時までコロナ訪問に行き続けました。コロナ訪問終了後も定期訪問につながったり、新規依頼も継続していただけるようになったのはこれらの行動が身を結んだと考えています。
このあたりから、私自身は『従業員が安心して長く働ける会社、しっかりと給料が支給できる会社に成熟させたい。地域のニーズに沿った看護やリハビリが提供できるスタッフ育成を行うことで、より多くの地域住民の生活を支えるべく関わっていきたい。』と考えるようになりました。そうして会社の理念、ミッション、ビジョン、バリューを考えました。
2022年11月1日に代表取締役に就任してからも毎日が新鮮で、学びの連続の日々を送っています。スタッフ一人ひとりとの時間を確保し、より耳を傾け対話を行い、組織課題解決に取り組んでいます。その甲斐もあってか、カットした賞与を上乗せして冬に支給することができました。ただ当たり前ではありますが、1年経過した今でも課題山積です。それでも一挙手一投足の責任の重さを感じつつ、一歩ずつ組織が成長できていると感じています。私自身も多くの経営者や異業種の方との交流を介して刺激を受け学びを深めることができており、このご縁に感謝しかありません。
会社の成長においては、社長の器が会社の器、いわゆる成長の限界だと捉えています。今日から社長2年目に突入しますが、まだまだ思慮も経験も薄い若輩者です。会社を成長させてスタッフや利用者を幸せにするため、貪欲かつ謙虚に学びながら器を大きくしていき、スタッフ達と最高にワクワクする未来を共に描き、必ずその絵をつかみたいと考えています。誠に勝手ではありますが応援のほどよろしくお願いいたします😊